つねきについて知る現状認識と基本的な考え

日本に忍び寄る危機 アベノミクスは最悪の売国政策だった

過去最大の対外資産と負債

 日本が31年間連続世界一の対外純資産国であることはすでに「世界一のお金持ち国の悲劇」で説明しました。しかし、今やその日本に空前の危機が訪れています。
 対外純資産とは、その国が海外に投資している金額(対外資産)から、その国が海外から投資を受けている金額(対外負債)を差し引いた純資産額です。その内訳は対外資産1146兆円に対し、対外負債789兆円の差し引きが357兆円ということで、対外純資産は横ばいですが、対外資産、負債とも過去最大です。その要因となっているのがアベノミクスで、2012年以降急激に増加しています。(下記グラフ参照)

アベノミクスという売国政策

 アベノミクスの第一の矢は異次元の金融緩和でした。すなわちお金をジャブジャブに増やす政策です。誰がそれをやるかというと、すでに説明した通り、お金を作るのは一般の民間銀行です。しかし、長期のデフレで低成長が続き、新たな生産活動を伴う資金需要がありません。それでもお金を借金で作る以上、それなりの投資リターンが必要で、金利が低い日本では投資先は限られています。結果として、少しでも高い投資リターンを求めて、金利の高い国(例えばアメリカ合衆国)に投資が流れることになります。ちなみにアメリカドルの金利が円金利よりも高いのは、アメリカが世界最大の借金大国で、投資を受け続けないと破綻する国だからです。その少しの金利差につられて、今や我々の対外資産は過去最大の1146兆円、ただしこれは実際は10兆ドル以上の外貨資産です。それが過去最大になっているということは、過去最大に外貨を買い、円を為替市場で売っていることになります。売られた円はどうなるかというと、単に所有権が変わるだけで国内に留まります。日本以外では使えないし、投資もできないからです。そしてその円を外国人投資家が買い、今や789兆円分もの日本資産(土地や株、債権など)を買われているのです。こちらも過去最大。つまり、我々はかつてないほど多くの海外資産を持ち、国内の資産を買われてしまっているのです。これは由々しき事態です。なぜなら、海外資産は国内資産に比べて質が悪すぎるからです。

ドル資産はもはや紙くず同然

 世界最大の純資産国の資産と、世界最大の純負債国のアメリカの資産では、その裏付けとなる生産性が天と地ほど違います。なぜなら、世界最大の純資産は、我々の生産が消費よりも遥かに多いから溜まる貿易黒字の結果であり、純負債はその逆の結果だからです。また、これに伴う為替リスクも非常に重大です。アメリカに貸しているのは日本だけではないからです。世界最大の借金大国は、日本を始め、ドイツ、中国など、他の純資産国からも借りまくって何とか回っています。つまり、他の資産国も膨大なドル資産を持っているということです。もし彼らが本気でそのドルを為替市場で売りに出したらどんなことになるか。恐らくドル/円の為替レートは影も形もないぐらい暴落するでしょう。私がこんなことを言うのは、私が元プロの為替ディーラーだったからです。
 為替ディーラーが為替市場でトレードする時の通常のサイズは一声10本(1本=100万ドル)1000万ドルです。たまに大きな顧客の注文で、1000本(10億ドル=約1100億円)ぐらいドル売りを仕掛けることがありましたが、その当時50銭から1円ぐらいドルを下げるインパクトがありました。今、アメリカは世界中から15兆ドル近くの純負債があります。つまり、世界中が正味15兆ドルの買い持ちポジションを持っているということです。それら資産国が全部のドルを売りに出したらどうなるでしょう?15兆ドルの売りとは、1000本のドル売りを一日10回繰り返し、それを1500日間(約4年間)毎日繰り返す金額です。仮に最小限に見積もって一日1円しか下がらないとしても、1500日繰り返したら誰も買い手がいなくなることは自明です。そうならないのは、それをやれば自分たちの首を締めるからです。だから例えば中国などは、同じ外貨を持つならドルよりも円ということで、円を買い、日本の土地や株などを買い漁っているのです。世界一の借金大国より、世界一の資産大国の資産の方が安全に決まっているからです。その結果、今や789兆円分もの日本の優良資産を買われ、片や我々が持っている世界最大の外貨資産は風前の灯火です。なぜなら、もし本当にドル円の為替が暴落しようものなら、例えばドル/円が50円なれば、我々の10兆ドルの資産は500兆円にしかならず、789兆円の負債との差し引きはマイナス289兆円の純負債に転じるからです。もっと下がればもっと負債額は膨らみます。我々が買われてしまっている789兆円分の円資産は為替とは関係ないからです。しかも、資本主義という名の所有主義において、その所有権の行使は我々の生活に直結します。これがいかに恐ろしいことがおわかりでしょうか?我々の国はこの7年間で合法的に乗っ取られつつあります。アベノミクスとは、それを加速させる最悪の売国政策だったということです。我々はいつまでこれを放置するのでしょう?