つねきについて知る基本政策

借金でお金を発行する時代は必ず終わる 政府紙幣で借金を完済し、一人100万円を配る

永遠に返せない借金は借金なのか?

 今の金融システムの根本的な問題は、現代のお金は全て誰かの借金として作られるということです。逆に言えば、借金を返すとお金が消える仕組みで、その借金は永遠に消せません。そして、お金にも借金にも金利がつくことにより、消せないどころかいずれも永遠に増え続ける仕組みです。しかし、民間の借金を永遠に増やし続けることは不可能ですから、最終的に政府が借金を増やし続けて、お金を増やし続けることになります。それが政府の借金の本当の原因であり、それは決して税収が足りないせいでも無駄遣いが多いせいでもありません。現代の金融システムの当然の帰結なのです。したがって、そうなったら最後、政府の借金は永遠に返せません。返すとお金が消えるからです。ですから、今の金融システムを続ける限り、政府の借金を増やし続けるしかないことは、すでに『政府の借金がお金を増やす仕組み』で説明した通りです。しかし、そうなったらもはや、このシステムに何の意味があるのでしょう?二度と返せない借金を借金と呼べるのでしょうか?

利息が格差を拡大

 返せない借金を無理矢理借金にし続けることによって、膨大な利息が発生しています。日本の政府の借金にかかる利息は年間9兆円、この30年間で300兆円以上発生しています。利息は概ね、お金を持っている人が時間と共にお金を増やす仕組みです。または民間銀行のように、無からお金を作っているところが利息を受け取ります。いずれにしても格差は拡大します。お金がなければ貸せませんし、普通はお金を作れませんから。なぜ、お金というとても公的なものを作るのに、格差を拡大させなければならないのでしょう?この問題の解決策はたった一つです。問題は、誰かが借金をしないとお金が生まれない仕組みなのであって、解決策は、誰の借金でもないお金を発行することです。当面は政府が政府通貨を発行するしかないでしょう。

政府通貨を発行する

政府通貨(紙幣)を発行すると言うと、今までのお札(日銀券)と混同することを心配する人がいますが、現在の日銀券と二種類の紙幣が世の中に出回るようなことはありません。発行の仕方は次のようなものです(図1)。

《 図1 》

仮に100兆円の政府紙幣を発行する場合は、1兆円紙幣を100枚刷ります。これを日銀に預けると、日銀はそれを金庫に入れ、日銀内の政府口座に100兆円と記帳します。それだけです(法律の改正は必要ですが)。後は通常通り、政府はそれを政府支出として使い、通常通り振り込むだけです。それを受け取る公務員や政府事業の請負業者は、普段と何ら変わることなく、日銀券でそれを引き出すことができます。敢えて1兆円紙幣を刷るというのは、それが日銀の金庫を出ることなく、その方が省スペースで偽造の心配もないからです。今も日銀が国債を買い、同じようにお金を発行していると言う人もいるかもしれませんが、それはあくまでも借金であり、これは誰の借金でもないということ。それから、今の日銀による国債買い入れは、既発債を買って、銀行にお金を貸すように促しているのに対し、これは直接政府にお金が入り、政府支出としてそれが世の中に回ります。実はノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンも2015年9月11日のニューヨーク・タイムズへの寄稿で日本に対してそれを提言しており、彼は新発債の買い入れを念頭に置いているようですが、それだとあくまでも政府の借金であることは変わりないので、大西つねきはそれを一歩進めて、政府紙幣でそれを行うことを提唱しています。

政府の借金を10年で完済する

政府紙幣を発行すれば、政府の借金は完済できます。まずは現状をおさらいしましょう。すでに『政府の借金でお金を発行する仕組み』で説明した通り、日本政府の今の財政は図2のようになっています。税収とその他収入合わせて63兆円に対して、支出+利息=83兆円と、足りない20兆円は新たな国債を銀行に買わせ(銀行から借り)、お金を作って賄っています。これにより、民間が納めた金額(税収+その他収入=63兆円)以上のお金(政府支出+利息=83兆円)が返ってくるため、皆さんの現金預貯金がその分増える。つまり、「政府の借金=お金の発行」となっているわけです。この仕組みのまま税金で政府の借金を返すとどうなるか?当然、税収を増やして支出を削り、税収>支出となれば、その差額で政府の借金は返済できますが、逆にその分のお金は民間から消えます。つまり、845兆円の政府の借金を990兆円しかない民間の現金預貯金から払えば、政府の借金も消えるが、皆さんのお金もほとんど消えるということになります。これはもはやあり得ません。したがって、税金で政府の借金は返す選択肢はないということです。

《 図2 》

ではどうしたら良いのでしょう?答えはシンプルです。誰かが借金をしないとお金が発行されない仕組みが原因なのであれば、誰の借金でもない政府紙幣を発行し、それで政府の借金を置き換えれば良いのです。発行の仕方は図1で説明した通りですが、図3をご覧ください。政府紙幣の発行により、政府預金口座には100兆円が記帳されます。税収58兆円、その他収入5兆円、政府支出74兆円が全く変わらなくても、基礎収支が89兆円のプラスになり、利息の9兆円を払っても80兆円余ります。これを国債の返済に充てると、国債の残高は799兆円に減る一方、皆さんのお金は1010兆円に増えます。皆さんの側から見ると、税収も政府支出額も全く変わらないので、実感としては当初何も変わらないでしょうが、結果は劇的に変わります。まず、これを10年も続ければ、政府の借金を完済できます。そして、同時にそこについていた膨大な利息、これも格差拡大要因となっていたものが消滅します。すると、政府の借金のせいで財源がないという「言い訳」もできなくなり、必要なことに支出できるようになります。次第に、当初は実感できなかった変化も、次第に大きな変化として実感できるようになるでしょう。

《 図3 》

356兆円のタダ働き分を返還する

日本が黒字を稼ぎ過ぎ、356兆円分もの外貨が国内に還流しないため、国内の労働者がほとんどその恩恵を受けられなかったことは『世界一のお金持ち国の悲劇』で説明しました。そのためにデフレになっているのです。これを解決するには、タダ働き分を返すしかありません。政府紙幣を刷ってまずやるべきことは、政府の借金返済よりも先に、まずそれを配ることです。政府の借金を返し始め、それ自体は減ったとしても、お金の増え方は、政府予算と税収の差額という意味では従来と変わりません(従来はそれを国債で賄い、それを政府紙幣に変えるだけでも重要な変化ですが)。今は何よりデフレの解決が急務と考えれば、それを直接配るのが最も効果的です。よくバラマキを批判する人がいますが、単なる思考停止でしかありません。今の仕組みがいかに搾取的で、いかなる金融緩和も上流からしかお金が流れないことを理解すれば、下流に直接渡さなければいけないことは自明です。それに、これは単にバラまくという話ではなく、本来労働者が受け取るべき報酬を受け取れていないから、それを政府が責任を持って返還するという話なのです。さすがに356兆円分全部となると一人300万近くになりますが、とりあえず一人100万円、政府紙幣126兆円分を刷って配れば、どれだけ助かる人がいるかわかりません。そして、これは日本だからできる話なのです。お金を配ることによって、もし皆さんが少なく働けば、日本の生産は減り、日本の輸出は減ります。逆に余分にお金と時間を手にすることによって消費が増えれば、日本は資源を輸入に頼っているので、輸入が増えます。つまり、貿易赤字になってしまうかもしれませんが、むしろ赤字にしなければならないのです。なぜなら、使えない黒字を外貨で貯めることが我々の首を締めていたわけで、その黒字を使うためには、働いて売ること(輸出)を減らして、休んで買うこと(輸入)を増やさなければ赤字にならず、赤字にならなければ黒字は減らないからです。しかもこれは1985年のプラザ合意をきっかけにやらなければならなかった政策で、その時に輸出主導型の経済から内需拡大型の経済に転換しなければならなかったのに、それをやらずに30年以上、思考停止して戦後復興をやり続けたことが我々の首を締めたのです。今だにその黒字を抱えている限り、やるべきことは同じです。このコロナの状況だからこそ、何なら一人200万円にも増額して、今すぐにでも配るべきです。

政府紙幣は裏付けのないお金か?

政府紙幣の話をすると、よく裏付けのないお金だからダメだと言う人がいます。むしろ逆です。今のお金の方が裏付けがないのです。何故なら、お金だけが勝手に増える仕組みを民間に委ね、コントロールできていないからです。そもそも、古典的な意味でのお金の裏付けというのは、1971年のニクソンショックの時になくなりました。それまでは金本位制を敷いていましたが、ニクソン大統領がドルと金の交換性を停止し、間接的に固定相場でつながっていた全ての通貨も、金の裏付けを失ったのです。しかし、それも当然の成り行きだったでしょう。経済の発展で膨大な量の価値が生み出されるようになると、膨大な量のお金が必要になります。その全てを金が裏付けることはできませんし、他の何物もできないのです。唯一それだけの量のお金に匹敵するのは、それと交換できる価値全てであり、その交換性が担保されることが、お金に裏付けのある状態を保つということです。ですから、お金の量と価値の量のバランスが大事なのです。誰かの借金としてお金を発行することが、お金の乱発を防ぎ、そのバランスを保つと考えられて来ましたが、リーマンショックや世界金融危機を見る限り、むしろ逆です。お金を借金で発行していることが、お金(=借金)を膨張させ、裏付けのないお金を乱発しているのです。結局どんどん貸し続けてお金を増やし続けないと、破綻するしかないところまで来ているからです。それは、その時に取ったアメリカ政府の対応でも明らかです。破綻しないように更に借金を増やし、金融機関を救済するしかなかったのです。そのようにしてマイナス(借金)を作ることによっていくらでもプラスを作れ、そのツケを先送りできる仕組みで、裏付けがあるなどと言うのは、子どもたちの未来を担保に取ったと言うようなものです。返せるはずのないものをどんどん未来に先送りしていて、何が裏付けだと言うのでしょう?あまりに無責任な考え方です。大西つねきはそれに対する明確な対案を主張します。誰の借金でもないお金を政府紙幣で発行し、政府がその発行量をコントロールすること。その方が遥かにきちんとお金の裏付けを保つことができるのです。